カンチャナブリーの観光の目玉は
「戦場に架ける橋」が有名だが、
ほかにも見どころは沢山ある。
エラワンの滝やサイヨークノイ滝、
アルヒル桟道橋やチョンカイの切り通し、
旧日本兵が掘り当てたヒンダート温泉など、
観光客を惹きつける魅力の場所が多い。
その中でもアルヒル桟道橋へ、
泰緬鉄道に乗りのんびりと行ってみることにした。
泰緬鉄道の始発駅はバンコク郊外の、
トンブリー駅からミャンマーの国境近くの、
ナムトック駅まで約180㎞、
所要時間は5時間ほどである。
一日2往復しており、
1等、2等、3等と違う列車が運行している。
週末は臨時列車が用意され蒸気機関車が走る。
トンブリー・ナコンパトム・カンチャナブリー・クウェー川鉄橋・
ターキレン・タムクラセー・ナムトックと各駅がある。
私はカンチャナブリー駅から乗って、
タムクラセー駅まで行く事にした。
時刻を調べると10時25分発があった。
まだ、時間があるので駅前の食堂で遅めの朝食、
駅前広場は夕方にならないと屋台が出ないらしい。
10時頃駅に行ってみると車輌が入っていた。
駅で切符を買いホームへ出てみると、
ホームから離れて車輌が止まっている。
ホームから線路に降りてデッキを登り列車に乗る。
この何とも言えないローカルらしさが好きだ。
中に入ると、観光客と一般客が分かれている。
所要時間は1時間15分、
運賃は外国人100バーツ(340円)
10時25分「プゥオーン」と汽笛が鳴り列車が動き出す。
さぁ、いよいよ出発だ
・・・・と思ったらガクンと止まった。
するとバックしていく
あれ?
どうやらバンコクから来た列車と連結するらしい。
ガシャッと連結され10時40分に再度出発。
まもなく、クウェー川鉄橋駅に到着。
ものすごい観光客、
あっという間に列車は満席状態。
戦場に架ける橋をゆっくり進みながら
次の駅ターキレンへ向かう。
山並みや田園風景を望みながらゆっくりと列車は走る。
ターキレン駅到着、間もなく動き出す。
左手にクウェー川を見ながら、
のどかな景色を楽しんでいた。
すると、突然岩盤が近づいてきた。
知らずに顔を出してたら間違いなく、
血だらけになるくらいの
すれすれの距離に岩肌が削られている。
そこを何事もないように列車は通過していく。
間もなくして、列車がスローダウン。
右側の岩肌すれすれに通過していく。
そして、有名なアルヒル桟道橋へと差し掛かる。
観光客から歓声があがる、
私も思わず声を出す。
車速は5㎞くらいでゆっくりと渡っていく。
クウェー川に沿って岩壁すれすれに作られた
全長300mのS字カーブの木造橋。
旧日本軍の指揮で苦労して敷設した難所、
断崖絶壁に沿わせるように木橋が建設された。
ビューポイントが沢山あり、
無我夢中でシャッターを切る。
タムクラセー駅に到着、
列車が完全に止まらないうちに客がデッキから飛び降りてくる。
駅から桟道橋までお土産屋の中を歩いて行き、
今度は桟道橋を歩いてみる事にした。
桟道橋の降り口の向かい側の
岩壁に洞窟を掘って仏像が祀られている。
クラサエ洞窟といい、
旧日本軍の捕虜や現地労働者たちの宿泊施設だった。
中に入り、靴を脱いで帽子を取り参拝した。
このアルヒル桟道橋は線路の上を歩いて行くことも、
下に降りて歩道を歩いて行くこともできる。
私の奥様に「どっちにする」と聞くと、
「頑張って線路を歩いてみる」と返ってきた。
どうやら高所恐怖症らしい。
私は恐る恐る歩いてくる奥様を、
写真を撮りながら誘導していく。
帰りは下に降りて歩道を帰ってきた。
下から見る桟道橋は、圧巻である。
よくぞ、ここまで作ったものだと感心する。
歴史をたどると、
私も日本人なので心苦しい所はあるが、
悲しい歴史遺産の一つであることには間違いない。
コメントフォーム